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ハックルベリー写真館3

ハックルベリー写真館3

●ストーリー仕立てでお楽しみください●


井の頭池を出てから三時間、ケンジはついに神田川を下りきった。

そこへ、一本の電話がかかってくる。…カオルさんからだ。

元気でやってる?

それなら、「私はもうお父さんと会わない。」「…え?」
カオルさんは電話を切った…



それから10年。ボクは未だに彼女の部屋の番号を押し続けている。

この番号を押し続けていればいつかはあの時の彼女につながるかもしれない。

祈りを込めて、今日もボクは彼女の部屋の番号を押し続ける…そして…

いつの日か…

時の流れは遡れるか?



…カオルさんの声だった。祈りは、光の速さを超え、「あの時の彼女」に通じたのだ。

今まで言えなかった気持ちを伝えるボク。

しかし、カオルさんの気持ちは変わらなかった。

「私だってちゃんと幸せになってみせるから、大丈夫。だから許してあげてね。

「誰を?」

「あなた自身を」

ボクはカオルさんが好きだったんだ。

許してあげてね。


そして、ボクは今まで許すことができなかったものに気がつく。

ケンジの時計は10年前にボクが止めてしまったのだ…

止めてしまった時間

そして、旅は終着を迎える…


春海埠頭が見える…

旅の終着

おまえなら、きっとできるさ

旅を終えた二人はそれぞれ別の所へ帰っていく。ケンジは家に、ボクはあるべき場所に…

もうそれぞれ一人でもなんとかなるだろう。

ボクはケンジにパドルを返し、そしてケンジは…

これ、あげるよ。

いらないよ、そんな小さいの。

でも、あげるよ。ボクにもちょっと小さくなってきてるんだ。



ケンジが走り去った後、彼の中の今まで止まっていた時計が動き始めたことに、ボクは気づく。

「時計が動き始めた。」

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